キャメロン・ビュービアー:Q & A

 ギュントーリの代わりにドニントンに出走したキャメロン何とかさんのインタビューです。



 二度のAMAスーパーバイク・チャンピオン、キャメロン・ビュービアーへのインタビュー。彼がこれまでのキャリアのこと、マルク・マルケスのチーム・メイト時代のこと、そしてワールド・スーパーバイクでの目標について語ってくれた。

Crash.net:
 キャメロンという名前はスコティッシュな響きですよね。その一方で、ビュービアーはフランス風です。どのような由来があるのですか?

キャメロン・ビュービアー:
 実を言うと、自らの家系のことについてはよく知らないのです。とはいえ、フランス人であった曽祖父がここアメリカの地で家庭を築いたのが始まりであったと聞いています。キャメロンについては特にスコティッシュを意識したものではないと思っています。

Crash.net:
 アメリカ人の例に漏れず、やはりダート・トラックやフラット・トラッキングからこの世界に足を踏み入れたのでしょうか?

キャメロン・ビュービアー:
 はい。まさにそうです。4歳のときに乗り始めて、そのままモトクロスへ直行でした。父がモトクロス・レースの傍らでちょっとロード・レーシングをやっているという環境でしたから。わたしもそれに従ったわけです。

 実際にレースを始めたのは5歳のときで、わたしたちはあちこち渡り歩きました。時が経つにつれ、わたしたちは徐々にスーパーモタードにシフトしていきました。

Crash.net:
 一つのレースにおいて、ロードの区間とオフロードの区間が存在ずるというあれですね。

キャメロン・ビュービアー:
 そのとおりです。67割が舗装路で、残りがダートです。わたしは断然舗装区間が好きです。

 その時期に、舗装区間の走りで注目されるようになりました。実際、スーパーモタードのタイトルを二度獲得しています。しかし、次第にそれらのバイクでゴーカート・トラックを走るミニ・ロード・レースに活動の場を移してきました。これを二度制したことから、自然にロード・レーシングの世界に導かれました。

 RS125でのミニ・ロード・レース・シリーズの一つから始めて、125 GPの全米選手権に移りました。

 その当時のヘルメット・スポンサーが設立されたばかりのRed Bull Rookies cupのことを紹介してくれました。そこでわたしは入試を受けて、合格したのです。

Crash.net:
 好成績を収めましたよね。ヨハン・ザルコを抑えて何度か勝利をあげました。

キャメロン・ビュービアー:
 はい。その年にはそこでレースをしましたが、いい思い出です。ずいぶんクラッシュをし、表彰台はわずかでした。とはいえ、当時は14歳でしたから、すばらしい時間を享受するのみでした。

 その後、アルベルト・プーチの推薦でRed Bull Academyに入り、その年はそこでレースをしました。このときには激しいアップダウンを経験しました。そこにはダニー・ケントやヨナス・フォルガーといった超強力なライバル勢がいました。ヨーロッパ滞在中は、よくヨナスの家で過ごしたものです。

 2008年もヨーロッパに滞在し、地中海選手権に二度出場しました。そして2009年にはマルク・マルケスのチーム・メイトを務めましたが、このシーズンには大苦戦を強いられ、獲得できたのは僅かに2ポイントでした。わたしたちは大変多くのクラッシュとバイクの故障を経験しましたが、マルクも似たような状況でした。彼がその年に登壇したのは一度だけであったと思います。しかしその翌年、彼はデルビで8勝か9勝を上げました。

 そのバイクに試乗したときのことを覚えています。まるでロケットで、すぐに自分のバイクで記録したタイムを1秒更新しました。家でくつろいでいると、あのような相手を打ち負かすために、いったい何が出来たのだろうかと思うことがあります。

 とはいえ、全般的に見ればすばらしい経験でした。16歳にして世界中を旅し、モーターサイクルでレースをしていたわけですから。このような機会に恵まれる若者は稀です。

Crash.net:
 あのようなレベルのパフォーマンスが出来る人物であれば、そのほとんどがMotoGPを目指すものです。なぜそうしなかったのでしょう?

キャメロン・ビュービアー:
 楽しくはありましたが、当時はある種の困難を抱えていました。スタートしてしばらくするとやや喪失感を覚えるようになったのです。家族と離れ離れになり、少し孤独を感じていました。もし違った成績が出ていれば、もっとましな心境になっていたかもしれませんが。

 大変でした。実家の両親は共働きで、わたしに同行することが叶いませんでした。単純に、休暇をとってわたしのところで滞在するだけの余裕がなかったのです。それに、弟の面倒を見る必要もありました。

 いろいろな人のところに身を寄せていました。ヨナスやケーシー・ストーナーといった。つまり、友人はいたのです。とはいえ、みなそれぞれ都合がありますから、そこは尊重しないわけにはいきません。

 レーシングを糧とするには、レースにおけるパフォーマンスはもちろん、精神的なサポートも重要なのです。とはいえ、こう言わざるを得ません。もしこのシナリオを経験していなければ、ここに戻ったとして何をすべきなのか解らなかっただろうと。

 合衆国へ戻るという決断に至った理由はいくつかあります。KTMで参戦を続けるチャンスも模索しましたが、彼らが125のチームを持つ計画はありませんでした。

 シートを買うという選択肢もありましたが、わたしたちはそのような立場にはありませんでしたし、一度そこに収まってしまえば抜け出せなくなるのではという思いもありました。つまり、当時のわたしはまだ幼く、あそこでまともな機会を得られずにやや意気消沈していたのです。そして、故郷に戻る気になった。自らを見つめなおすため、AMAからやり直すことにしました。

Crash.net:
 かつてのAMAMotoAmericaですよね?

キャメロン・ビュービアー:
 ええ。そのとおりです。

Crash.net:
 その当時、この選手権が栄誉あるものに映りましたか?

キャメロン・ビュービアー:
 その当時はそうではなかった、そう言わざるを得ません。かつてはハイレベルで、2000年代半ばまでそうでしたがそれ以降は右肩下がり、2010年には極めて厳しい運営状況に陥っていました。わたしが来たのはちょうどそのときです。

 R6を運用するチームに加入しましたが、アメリカのトラックでの走行経験が不足していたことと、125と勝手が違う4ストローク600 ccに乗ったことが災いして、わたしのスタイルに落とし込むのにかなりの時間を費やすことになりました。モトクロスでの怪我も適応が遅れた一因でした。

Crash.net:
 MotoAmericaで使用されているトラックで、二輪に適したものはありますか?

キャメロン・ビュービアー:
 ほとんどがそうです。ミラーのように本当に楽しい場所もありますが、Road Americaのようなとても奇妙なものもあります。あれを見れば、皆さん四輪向けだと思われるでしょう。しかし一度走ればお気に入りの一つになるはずです。一部のトラックに関しては、安全性にいささか問題があるかもしれませんが、全般的に見ていいトラックが揃っていると思います。

Crash.net:
 キャリアの話の続きをお願いします・・・。

キャメロン・ビュービアー:
 学習に費やした1年目の後、わたしたちはあらゆるところ、両親をはじめRed Bull、いくつかのスポンサーから資金をかき集めて、600 ccの最高峰クラスに参戦しました。それなりの結果を目指してのスタートでした。

 わたしたちは何名かの好敵手と対峙することになりましたし、有望なライダーも目にしました。実際、楽しい一年でした。自転車操業の状態で、ガレージで組まれたエンジンとバイクは厳しい状況でしたが、誰しもが協力的でした。あの一年はいい思い出として記憶に残っています。確か、サポートを受けているチームを相手に5度表彰台を獲得したと思います。

 その年の終わりのこと、チャック・グレイブズとケイス・マッカーティがわたしに関心を向けてくれました。二人はわたしに600での2年契約を提示してくれましたが、夢のようでした。これは本当に大きな出来事でした。

 ラフな1年目を経てわたしは調子を取り戻し、78回レースを制しました。そこから更に調子を伸ばし、2013年には1312勝を上げました。これを受けて、彼らはわたしのスーパーバイク行きを手配してくれました。

Crash.net:
 この時点でのMotoAmericaの状況は?

キャメロン・ビュービアー:
 かなり良くなっていました。この年はすべてのラウンドで観客数が約30 %増加していたと思います。明らかだったのはラグナ・セカで、このときはWorldSBKとの共催ではありましたが、あの大観衆は印象的で、見ていて気分のいいものでした。

 ウェイン・レイニーとその関係者がプロモーションに尽力してくれたおかげで、確実に状況が上向きました。本当に、ヨーロッパから帰ってきた当時から見れば、昼と夜ほどの違いでした。現在も更に拡大が進んでおり、カリフォルニアとピッツバーグの2ラウンドが新たに加わる見込みです。

Crash.net:
 バイクの技術的レベルに関してはいかがでしょう?サスペンションとエレクトロニクスについてですが。

キャメロン・ビュービアー:
 ストック・フォーク・アウターの使用が義務付けられていますが、オーリンズのフォーク・インターナルズや、ノーマルのオーリンス・リヤ・ショックを使用することも出来ます。

 エレクトロニクスに関しては、パッケージ・コストに上限が設けられていますが、わたしたちはエンジン・コントロールにマニェッティ・マレリのエレクトロニクスを使用しています。

 わたしがWSBKのワイルド・カード・ライドで使ったバイクのそれと比較すると、まず気づいたのは、スウィングアームの違いとフォークのサイズが大きいこと、マニェッティ・マレリのバージョンが新しいことでした。とはいえ、どうやら来年にはオーバーサイズ・フォークとキット・スウィングアームの使用が許可されるようです。ですから、技術レベルはより近づくでしょう。

 またわたしたちは吊るしのダンロップ・タイヤを使用していますが、この点もWSBKのピレリとは異なります。ワイルド・カードの際に気づいたのは、ピレリがすぐにグリップを発揮することです。とりわけフロントに関して。ダンロップと比較して強いクリップを感じました。

 ダンロップのグリップもいいのですが、こちらは安定しているのです。ピレリのリヤはスタート直後から5周目あたりまでに恐ろしいほどのクリップを発揮しますが、その後ガクッと落ちてそこで落ち着きます。ダンロップは序盤の食いつきはそこまででもありませんが、その落ち方はより安定しています。

 ダンロップがラップ・アナリシスを分析し、わたしたちのレースとヤマハとWorldSBKのレース、つまりヤマハとピレリで臨んだレースとを比較したところ、序盤は1.5 sほどWSBKが上回ったものの、最終的にはわたしたちよりもペースが落ち、中盤あたりではほぼ互角でした。

 これらはヨーロッパのMoto2で使用されているものとは異なります。バッファローで製造されているものだと思います。

Crash.net:
 グリッドのテクニカル・レベルは?どの程度のファクトリー・チームが参戦しているのでしょう?

キャメロン・ビュービアー:
 ファクトリーの支援を受けるチームは数多く存在します。HSBK ApriliaGraves YamahaYoshimua Suzuki、そしてM4 Suzukiといったような。また、これ以外にも参戦を計画しているファクトリーがあると聞いています。カワサキやホンダといったファクトリーが帰ってくるのであれば、大歓迎です。

Crash.net:
 MotoAmericaで生計を立てるのは容易なことですか?グリッドに並ぶライダーのうち、まともな給与を得られる者はどの程度いるのでしょう?

キャメロン・ビュービアー:
 スーパースポーツのトップ4やスーパーバイクのトップ5あたりに入ればそれなりにいい暮らしができるのではないかと思います。そはいえ、ハッキリしたことはいえません。これらが話題に上ることはあまりないことですから。

Crash.net:
 「いい暮らし」ができるとは、数万ドル、数十万ドル、数客万ドルのいずれをさすのでしょうか?

キャメロン・ビュービアー:
 数万から数十万といったところでしょう。

Crash.net:
 MotoAmericaはどこで視聴できますか?

キャメロン・ビュービアー:
 Beinsportsで。

Crash.net:
 ヤマハと直接契約しているのですか?

キャメロン・ビュービアー:
 ええ、そうです。今は二年契約ですが、経過を見る必要があります。

Crash.net:
ドニントンでのワイルド・カードはどなたが提案されたのですか?

キャメロン・ビュービアー:
 ヤマハの提案ですが、マネージャーのボブ・ムーアもかかわっています。このプロジェクトを進めるに当たり双方が面談しました。最終目標は、わたしをヨーロッパへ送り、将来のある時点においてWorldSBKに参戦させることでしょう。明らかなのは、それが来年ではないということで、わたしはここにとどまります。

 本当にすばらしい契約ですが、最初はややナーバスになっていました。経験のないトラックにバイク、そしてチーム、右も左もわからないような環境に飛び込んだわけですから。また、そこにはベン・スピーズというすばらしい前例もありましたから。

 実際にはそつなくこなせました。もう少し上を望んではいましたが、悪い結果ではないでしょう。最初のレースでのクラッシュがなかったらと思っています。これにかんして、プレッシャーを感じることがなければ、もっとうまくいっていたかもしれませんから。

 予選の出来は上々でした。ただ前を目指しました。最初のレースでは手応えを掴み、いけると踏んでいたのですがクラッシュしてしまいました。セカンド・レースではコース上にいる唯一のヤマハでしたから、これをホームに持ち帰らないといけないと感じていました。

 クラッシュに起因するナーバスな状態が払拭されることはありませんでしたが、次第に落ち着きを取り戻し、10位で完走しました。絶対にクラッシュはしたくないと思っていました。

 予選で8位になりましたが、世界チャンピオンが乗って最高位3位というバイクですから、これよりも悪い結果もありえたでしょう。

 このバイクがパワーにおいてやや不利にあると感じましたが、チームがこのバイクを扱うようになったのは今年からですから、今後はよくなるだけでしょう。

 エレクトロニクスの観点においても、彼らがトルク・マップに注力していることに気づきました。バイクを乗りやすいものにするために。しかし、彼らにはウィリー・コントロールがなく、わたしたちはトルク・マップを使わずに一対一でこれを運用しました。バイクはいつものものと違っていました。もう少し時間があればもっと良くなっていたでしょう。

 本当にレースを楽しめました。これまでずっとテレビで見てきたようなライダーたちを相手に走ったのですから。

Crash.net:
 次なるアメリカのホープとみなされることへのプレッシャーは?

キャメロン・ビュービアー:
 実際、あの週末を通して始めてプレッシャーを感じたのはレース2の際でした。その理由は、ヤマハ勢唯一の生き残りとなってしまったこと、すべてのスポンサーがその場にいたことでした。とはいえ、概して言っていい経験になりました。これまでのワイルド・カード・ライダーの顛末について、いくつか恐ろしい話を耳にすることがあったので、全体としては本当に良かったと思います。実際、わたしのクルー・チーフにマネージャーがついてきてくれました。

 ありがたいことに、パドックの雰囲気はとてもよく、誰もがフレンドリーでしたし、ちゃんとした印象の人ともたくさん知り合えました。そのおかげ平静を保つことができたと言っていいでしょう。

Crash.net:
 目標はいずれかのワールド・シリーズに参戦すること?

キャメロン・ビュービアー:
 はい。ワールド・ステージでのレースを望んでいます。問題は適切な機会が得られるか、それだけです。今の環境よりも良くなるだろうという確信が必要です。ここにいればかなり稼げますし、レースが終わるたびに自宅に帰れます。とても快適な環境にいるわけですから、100 %ポジティブな印象を抱けない計画のためにここを去るつもりはありません。

 もし外に出ることがあれば、ヤマハのライダーとして行きたいです。彼らとはとてもいい関係にありますから。

Crash.net:
 いくつか選択肢はありますよね。WorldSBKあるいはMotoGPWorldSSPBSBMoto2など・・・

キャメロン・ビュービアー:
 そうとはいえないでしょう。ここに来ているヨーロッパ勢とわたしとを比較してみても、自身のレベルはかなり高いと見ています。

 ここのレベルは十分高く、したがって当面は別の国内選手権に参戦するつもりはありません。すでにWorldSBKに参戦できる水準にあると思っています。あそこのライダーたちを下に見ているわけではなく、BSBの上位勢にはわたしたちに匹敵する速さがあると思っています。しかし、わたしのキャリアの現段階においては、WorldSBKへの直行以外考えられません。

 好機がめぐってくるのを待つより他にありません。

 MotoGPに関しては、そこにいくためにまずしなければならないことが、23あると思っています。ですから、ねらうとすれば確実にWorldSBKです。いいチャンスがあればそこへ行かない理由はありません。まともなチームに入れば競争力を発揮できると思っています。

 望んでいることは、怪我をしたライダーの代役以外で、いくつかワイルド・カード参戦を果たすことです。

Crash.net:
 贔屓目抜きに、WorldSBKパドックでは新たなアメリカのホープとしてのあなたの名前をしばしば耳にします。それゆえに、ワイルド・カード・ライドの際にはかなりの関心が注がれました。

キャメロン・ビュービアー:
 本当に?すばらしい。あのときは初っ端から大混乱だったんです。ジャックとわたしが発った際、ロスト・バゲッジに遭ったのですが、荷物にはレースで必要なものがたくさん含まれていました。

 職員曰く、翌日までに荷物をホテルに届けるとのことでしたが、翌日になってもそれを手にすることはありませんでした。

 土曜日になってこれがテキサスに送られたことが判りましたが、向こうの言い分は飛行機の洗面所で何かが起こり、わたしたちの荷物がすべて水に濡れたということでした。

 あの週末にはチームに借りたシャツを着て、アンダー・ウェアを裏返しにして凌ぎました。もしかしたら、このパニックがプレッシャーを紛らわせるのに役立っていたのかもしれません。そんなことがあり、その先の展開が思いやられましたが、その後そうでもないことが判りました。

Crash.net:
 お時間を割いてくださりありがとうございます。

キャメロン・ビュービアー:
 いえいえ。良い一日を!

Source: crash.net



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2 件のコメント :

  1. アメリカでのスーパーバイクシーンは過去の悲惨な状況から徐々に抜け出している様ですが、それを世界に表明するためにも彼にはWSBKに参戦して欲しいと個人的には思ってます。もしかするとスピーズみたいに驚きの活躍を見せてくれるかも知れませんしね!
    ちなみにインタビュー中にもある様にフランス系ですので苗字の読み方はボービエが近いかと。

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    1. コメントありがとうございます。返信が遅くなりすみません。
      ワールド・シーンにおいてアメリカ人がここまで少ないのは寂しいですよね。
      名前の呼び方のご指摘ありがとうございます。
      フランス系の方の苗字はいつもどうかくか迷います・・・。
      これからはボービエでいきます。

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