MotoGP Q&A – ウィルコ・ズィーレンベルグ(ヤマハ)

 Crash.netより。ヤマハのロレンソ・チームを率いるウィルコ・ズィーレンベルグのインタビューです。



 「全く異なるセットアップのバイクを用意したときですら、ホルヘはその両方で非常にいいペースを刻むんです。」 - ウィルコ・ズィーレンベルグ

Crash.net
  タイヤとECUの変更に関してですが、ライダーたちにとっての重要な面とは何でしょう。

ウィルコ・ズィーレンベルグ:
 安全に、着実に進めていくことが重要であると思っています。なぜなら、基本的に、彼らはこのような規定の、用意されたマテリアルには慣れていますから。言ってしまえば、知らない物をあてがわれたとして、彼らはそれで限界走行をせざるを得ないんです。それが知っている物であれば、誰でもその感覚を掴めるものですが。

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 ホルヘは転ばなかった数少ないライダーの一人でした・・・

ウィルコ・ズィーレンベルグ:
 かなりの注意を払っていましたから。彼らにとってのもう一つの困難を、わたしたちは今シーズン中に目にしました。シーズン中、ホルヘは何度かミシュラン・タイヤを装着して走行しましたが、そのタイミングは常にブリヂストンを使用した後でした。ブリヂストンを使った翌日にミシュランを試すんです。こういったとき、わたしたちは往々にして、ブリヂストンと同じように走れると思うものです。

 わたしたちがすぐに覚ったのは、そうはいかないということです。ホルヘのみならず、他のライダーたちにとってもそうです。ハッキリしたのは、わたしたちがこの変化に応じなければならないこと、これまでとは別の方法で課題にアプローチしなければならないことです。

 まず、レース後にテストの無い日が一日ありました。そこでライダーたちは、「ブリヂストンのリズム」を頭から一掃することができました。そしてそのまま、わたしたちはバイクのセットアップをよりミシュランに合わせ込んでいったのです。これまでなかったことです。常にこうでした。「ブリヂストン・タイヤのことは忘れて、ミシュランを使う。」それで、ミシュランにタイヤのフィードバックを提供するんです。

 また、両ライダーが選手権争いの渦中にありましたから、すべてを投げ捨てて、来年に向けて他の物を試すということは困難でした。シーズン中には、2016年のタイヤにあまり注意を払っていなかったのです。ある時点で、わたしはそれを実行すべきだという考えに至りました。それまでに、わたしたちはミシュランを試す機会を幾分失っていました。そして、ライダーたちはそれを試すことに僅かながら恐れを抱いていました。彼らは今年の選手権のことを考えていましたから。

 したがって、わたしたちの場合、新しいタイヤに関しては少し後れを取っていました。今年の選手権のために。他のマニュファクチャラーはこう思っていたかもしれません。「今年のタイトルはもうどうでもいいので、好きなことをやろう。」と。

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 新しいタイヤはさておき、2016年に向けてのヤマハの変化で目に見えて判るものといえば、燃料タンクの位置がライダーの後方に移動したことですよね。グリップ・バランスが後方に移動したためなのでしょうか?ブリヂストンからミシュランへの変遷に伴って。

ウィルコ・ズィーレンベルグ:
 グリップ・バランスの違いはありますが、来年にはタンクの容量も2 L増えますから。それ故に、容量を確保する必要がありました。このセットアップを使うとして、まだ確定したわけではありません。

 認識しているのは、搭載できる燃料が2 L増えたということで、そのためにはわしたちはこのアイデアを試しているわけです。基本的にはどこにでもいけます。とはいえ、前方にはあまり伸ばせません。エアボックスがありますから。より小さなエアボックスが開発されたら、そういうこともあり得るでしょうが!それが問題でしょう。

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 このタンク・デザインは、セットアップの選択肢の幅を拡大させるものなのでしょうか?

ウィルコ・ズィーレンベルグ:
 はい。

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 ホルヘは懐の広いライダーでしょうか?この手の大きな変化に対し、彼はどの程度うまく適応するのでしょう?

ウィルコ・ズィーレンベルグ:
 実際、彼はこの点において極めてすぐれていますよ。なぜなら、彼はいかなるセットアップでも速く走ってみせます。2つのバイクのセットアップが全く異なっていても、ホルヘはそのいずれでもいいペースを刻みます。その一方、彼はタイヤの限界についても良く把握しています。ブリヂストンに関しては。彼は限界を知っているんです。

 しかし、ミシュランにおいては、どこに限界があるのかをこれから把握しなければなりません。この問題は、わたしたちに対して同じような形で警告を発しませんから。今のところ、誰にとっても状況は同じです。それがクラッシュ頻発の理由です。急いては事をし損じるというわけです。

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 現時点における、ミシュラン装着時の「危険領域」はどこでしょう?どういったときにライダーは注意を払い、気持ちをキャリブレーションし直さなければならないのでしょうか?

ウィルコ・ズィーレンベルグ:
 加速時、バイクがストレートを走行しているときではないでしょう。それは確実です!とはいえ、セットアップによりけりです。ブレーキング時には幾分問題を抱えています。フロントがロッキングするんです。それから、ライダーがコーナーの中ほどにいる時も。スロットルを開けた際にフロントを失うんです。ホルヘにマルク、ヴァレは他のライダーよりもやや苦戦しているかもしれません。彼らのブレーキングは特にハードかつディープですから。これは彼らがブリヂストンで培ってきた技術で、彼らはあの頃の感覚を払拭しなければならない。難しい事でしょう!

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 ECUの第一印象はいかがでしょう?

ウィルコ・ズィーレンベルグ:
 課題山積です。

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 初日終了後、ロッシが2008年に戻ったようだと語っていましたが・・・

ウィルコ・ズィーレンベルグ:
 二日目を終えた後には、34年前程度に追い付きましたよ!やらなければならないことがたくさんあるというのは事実です。もちろん、バイクに関しても。ホンダとヤマハは、この領域を非常に洗練させてきました。ウィリー・コントロールにトラクション・コントロール、エンジン・ブレーキング。これらすべてに跨るものです。

 それがここに来て急に変わってしまった。これまでに試したことのないシステムに。ですから、初日に喪失感を覚えるのは当然のことです。「何が起こったんだ?」と。しかし、すぐにデータを確認できますし、そうしたら上手く行かない原因も特定できます。今の課題はすべてを調整することです。

Crsh.net
 マルケス曰く、エレクトロニクスの介入が過剰で、スムースなスライドができないそうですが・・・

ウィルコ・ズィーレンベルグ:
 はい。わたしたちも同じだと感じています。断言はできませんが。このバイクに乗ったことなどありませんから。ですが、ホルヘからは聞いています。ECUの介入が大きく、それが妨げになっていると。

Crsh.net
 この変更が来年のレーシングを盛り上げるのに役立つとお考えですか?

ウィルコ・ズィーレンベルグ:
 見た限りでは、トップ・ライダーと15位のライダーには1秒の差しかありません。恐らく、わたしたちは0.5秒かそれ以上を失うでしょう。そして、他のライダーたちのロスはそれほどでもない。とりわけドゥカティ勢は。その時点で彼らが使っていたものなど、わたしたちは知る由もありませんから。これはまた別の疑問です。また、スズキも好調でした。とはいえ、彼らがどのソフトウェアを使っていたのかは解かりません。タイムシートを見れば、拮抗していると思うでしょう。ですから、誰にとって有利なのか、あるいは不利なのかは、現時点では明言できません。本当にタイトですから。

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 小さなミスが以前より増えるとお考えですか?それにより、これまでのような安定したラップ・タイムを刻むのが難しくなると見ておいでですか?

ウィルコ・ズィーレンベルグ:
 それについて言及するのは時期尚早です。正直解かりません。

Crsh.net
 最後の質問です。ウィルコ。ホルヘがスタート練習をするとき、大抵彼は絶不調ですよね。それなのに、レースではパーフェクトです。彼は意図して、プラクティス・スタートにおいて「ラフ」なんでしょうか?本番のスタートに向けてデータを集めて、全てを最適化するためなのでしょうか?

ウィルコ・ズィーレンベルグ:
 ええ。知っての通り、ホルヘはこの点において特別です。彼はあらゆるリスクを負って悪いスタートを切っているんです。プラクティスの際に。レースでいいスタートを切るための確認作業をしているわけです。

 たとえば、クラッチを速めに切って、レースで必要とされるパフォーマンスを下げます。あえて行きすぎることで、問題を把握しこれを役立てているわけです。おかげで、本番において安全なスタートを切れるわけです。

Crsh.net
 ということは、ホルヘはプラクティス・スタートが上手く行かないかもしれないことを知っていると?その割には苛立っているように見えますが・・・

ウィルコ・ズィーレンベルグ:
 はい。彼はプラクティスにおいていいスタートを切ろうとしています。しかし、ウィーリーやスピンなどを生じさせようともしています。そうやって、レース・スタートに向けての最適条件を探っているのです。

 しかし、これは難しい事です。プラクティスの際、彼が不満をこぼすことはたくさんあります。しかし、こう言い聞かせています。「わかったけど、トラックの汚れた側にいたじゃないか!汚れた側からスタートを見込んでセットアップをすべきではない。」と。いずれにせよ、レースでは上手くやっています。

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 サンクス、ウィルコ。この度はおめでとうございます。また、良い年末年始をお過ごしください。

ウィルコ・ズィーレンベルグ:
 サンクス!

Source: Crash.net



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