CYCLE WORLD INTERVIEW: ヴァレンティーノ・ロッシ


 Cycle Worldより。デニス・ノエス氏によるロッシへのインタビューです。





 9度の世界チャンピオン、ヴァレンティーノ・ロッシが、MotoGPパフォーマンス、ライバル、スーパーバイク等について語る。

 ジャーマン・グランプリのセカンド・プラクティスの2時間後、わたしはファクトリー・モビスター・ヤマハのヴァレンティーノ・ロッシへのインタビューを行った。このインタビューはスペインのTele5向けのものであるが、その全文をCycle worldのウェブサイトにも寄稿する許可を得ていた。インタビューのビデオ版は英語で行われたが、質問はスペイン語に吹き替えられ、回答には字幕が付けられた。この映像はこちらで確認できる。

CWまずは2年間の契約延長おめでとうございます。レーシング業界にとってはうれしいニュースです。昨年には、ご自身のキャリアの継続について、序盤の6レースを見て判断すると仰っていました。しかし、それより早い段階で決断を下されたようにお見受けします。決意なさったのはいつですか、またなぜ2年契約なのでしょう?

ヴァレンティーノ・ロッシ:非常に早い段階で決めました。実質的にはウィンター・テストの後です。昨年のセパンと比較して非常に好調でしたから。フィリップ・アイランドでもテストを行いましたが、ペースは良好でした。それで、わたしたちの作業が軌道に乗っていると判ったんです。わたしのライディング・スタイルによりマッチしたセッティングを見出すための。したがって、その瞬間に決めました。レースの結果が出るまで少し待ちましたが、既に心は決まっていました。続けたいと。

CWなぜ2年なのでしょう?

VR基本的に1年は念頭にありません。モチベーションがあると感じていますし、感触も上々です。そういう場合、普通は2年でいくものです。

CWこの業界の多くの人びとが、35歳ともなればライダーは速さを維持できなくなると考えています。しかし、ケニー・ロバーツを思い起こすと、まだやれると言えますし、レーシングを楽しんでいる限り燃え尽きることはないと言えます。

VRはい。それに同意します。本当にそうなんです。他にも理由はあります。昨年と比較して速さが大幅に向上したというのも理由の一つです。問題は他のライダーで、ライバル勢が入れ替わって、若く強力な面子になっていくことなんです。これまでのキャリアの中で、一時的にはわたしが他を圧倒するようなこともありました。しかし今は、ライバルたちのレベルが上がりました。それでもなお、わたしはここに留まり彼らと争うことができています。現在はマルク・マルケスが頭一つ抜けた状態ですから、状況は困難です。しかし、ハッピーであることと楽しむことは重要です。身体については、バイクに乗る限界を考えれば、40歳までは続けられると思います。

CW今のヴァレンティーノ・ロッシと10年前のヴァレンティーノ・ロッシとを比較した際、どのように感じられますか?

VRほとんどの観点から見て似ていると思いますが、変わった点もあります。10年前はもっと能力を示さなければならない状況でしたし、もっとハングリーでした。特にプレッシャーは今以上に大きかったです。今は皆さんに見せたかったものを既に見てもらえましたから、以前よりはリラックスした状態です。しかしこのスポーツにおいて、リラックスしすぎは禁物です。もっと怒りが必要ですし、上位で争えることを示さなければなりません。

CW新しいタイヤのせいで、ホルヘ・ロレンソが苦戦を強いられているようです。しかし、あなたに関しては同様のトラブルが見受けられません。

VR大きな差は感じません。また、わたしのライディング・スタイルや体格から言って、有用となるのは常にハード・タイヤです。ですから、タイヤに関しては昨年の方が苦戦していました。昨年のものの方がエッジがより柔らかく、今のものはグリップに欠けますが、強度は高いです。ですから、わたしのライディング・スタイルに合うんです。また、わたしは他のライダーよりもかなり長身ですから、こっちの方がいいんです。

CWマルク・マルケスが選手権に新しいスタイルを持ち込んだんでしょうか?それとも彼がホンダに乗って実現していることが、あなたがヤマハでできないことなんでしょうか?

VRマルクは群を抜いています。彼は常に速く、集中しており、毅然としています。彼はどこでも、どんな状況下でも速いです。彼のブレーキングは超強力で、コーナーへの侵入もそうです。彼はホンダのポテンシャルを引きだし、そのスキルによりスライディングしながらコーナーに進入します。しかしヤマハでそれをするのは不可能です。残念ながらそう思います。この点に関しては、マルケスがわたしたちのバイクに乗った際に問題が生じるでしょう。しかし、マルケスには別の方法でバイクを操縦する能力があると思います。

CW500990800、そして現行の1000 ccを経験している唯一のライダーですね。こういった変化の過程でのバイクとライディング・スタイルの進化について説明してくださいますか?

VRまず、バイクの中でもタイヤとブレーキについて大きな変化があったと感じています。最も大きな変化をもたらしたのはタイヤだと思っています。またエンジンについては、出力は上がりましたが、その伝達はスムースになりました。これは本当で、とりわけ500と比較した際の違いが顕著ですが、990 cc4ストロークとの比較でも差を感じます。エレクトロニクスも大きな進化を遂げました。これにより乗り方も変化しました。以前はハイサイドやクラッシュをもっと恐れていました。今はエレクトロニクスを以前よりも信頼することができます。

CW実際、レギュレーションに関してカルメロ・エスペレータやレース・ディレクション、テクニカル・ディレクションと議論なさっていましたよね。しかし、もしあなた方に2016年のレギュレーションを決定する権限が与えられたとして、どうなさるおつもりですか?

VRまずはエレクトロニクスです。ECUの機能のうち、30 %はライダーの安全のためのものです。しかし、残りの70 %はパフォーマンスに寄与していて、安全とは関係ないんです。ですから、まずは安全のための30 %を残し、あとの70 %は切り捨てるべきだと思います。その方がライダーの技量がより問われますよね?タイヤについては、ブリヂストンからミシュランになりますが、どうなるかは判りません。

CWミシュランに何を求めますか?

VRブリヂストン並に安全なタイヤを求めます。今年、ブリヂストンの安全性は大幅に向上しました。いい角度で走行できますし、それと同時にスライディングとスピニングについても優れています。これはポジティブかもしれません。概して言って、ミシュラン・タイヤはスピニングに向いていましたから。ブリヂストンは違っています。とりわけ加速においては。

CWレブ・リミットに賛成ですか?

VR個人的には賛成です。ストレートがあまりに速くなりすぎましたから。レブ・リミットを導入すれば、トップ・スピードを20から30 km/h削ることができます。

CWバイクの出力を260270馬力の現状から230馬力に落せば、サーキットやテレビの観衆が差を感じるんじゃないでしょうか?

VRいえ。そんなことはないでしょう。ショーとしてもその方が見ごたえがあると思いますよ。客観的に見て。バイクが320 km/hで走ろうが350 km/hで走ろうが見た目は一緒です。しかしライダーにとっては、パワーが小さい方がもっとバトルができるんです。ストレートの終わりでのオーバーテイクの機会が増えるかもしれません。

CW長いキャリアを振り返ってみて、これまでのライバルたちの中で最も激しく対立したのがマックス・ビアッジであったとお見受けします。イタリアは二人のトップ・ライダーを抱えるには狭すぎたのでしょうか?

VRビアッジがいいライダーだったからですよ(笑)。あの当時、彼はナンバー・ワンになろうとしていました。そこへわたしがやってきたために、彼は大いに腹を立てました。彼のナンバー・ワンになろうという魂胆を台無しにしたんですから(笑)。若くて速いわたしの存在は、ビアッジにとって受け入れがたいものだったのでしょう。

CW現在のマックスとの関係はいかがですか?

VRうーん・・・。あまり関わりはありませんから。でも悪くはありません。

CWマルク・マルケスを含むこれまでのすべてのライバルの中で、もっともタフな相手は誰ですか?

VRなんとも言いがたいですが、ケーシー・ストーナーとロレンソに関して言えば、ロレンソです。ロレンソのほうが重要なライバルです。同じチームにいて、同じバイクに乗っているわけですから。

CWあなたとマルクのいずれも、ダート・トラックのイメージがロードレーサーのトレーニング方として有効であることを認識していました。このことがケニー・ロバーツやウェイン・レイニーを喜ばせています。それこそが彼らの理念でしたから。トレーニングにおけるダート・トラックの役割とはどういったものなのでしょう?

VRわたしはダート・トラックでの走行やスライディングで腕を磨いてきました。グラッツィアーノがいつもケニー・ロバーツやウェイン・レイニーをはじめとするアメリカ人たちの後追いをしていましたから。父はダート・トラックが大好きだったんです。これは大変重要なことです。楽しみながら、バイクがスライドした際のコントロール技術を磨けるわけですから。MotoGPのライディングにおいて重要なことです。

CWマルケスをイタリアに招待なさいましたよね。タヴィッリャにあるあなたのダート・トラックで一緒に走ろうと。返事は受け取りましたか?

VRまだです。マルクをホームに招いて走ってもらいたいのですが、エミリオ・アルサモラが嫌がるんじゃないでしょうか。彼はわたしたちが一緒にレースをするのは危険なんじゃないかと思っていますから(笑)。

CWこれまでに何度か、いつかはスーパーバイクでレースをしてみたいとおっしゃっていましたね。ワン・シーズンであれ、数レースであれ。今でもそう思っていますか?

VR常にスーパーバイクをチェックしていますよ。大好きですから。もし3、4年前にこの質問を投げかけられていたら、確実にそうだと答えていたでしょう。しかし今は残念ながら・・・、スーパーバイクにかつてほど魅力を感じないんです。ですから、ノーとお答えしましょう。

CW最後の質問です。Tele5に在籍しているわたしの仕事仲間であるMela Chercolesがいつもあなたのことを「人間国宝」と呼んでいるんです。つまり、モナリザや自由の女神、ピラミッドと同列に語っているわけです。そのくらいイタリアで人気があるということには当然のことと納得していますが、世界中のファンからも同様に愛されているというのは驚きです。

VR最初はすごく驚きました。今は大変光栄に思っています。確かに、イタリアには多くのファンがいますが、世界中の方からもそのようなサポートを得ているというのはすばらしいことですし、多くの方がわたしを支持し、取り上げてくれているのを実感するのはうれしいことです。たとえば、人生を諦めない者の一例として。名誉なことです。非常にうれしいですし、こういうことが続けていくためのパワーになるんです。

 

 
 

Related Post: