Insight Part 3:ギ・クーロン


 Tech 3の舞台裏シリーズから、ギ・クーロンさんについてです。





 今回の舞台裏エピソードは、エルベ・ポンシャラルと並んでTech 3チームの根幹を成すキー・キャラクターについてである。ギ・クーロンはブラッドリー・スミスのクルー・チーフとして知られ、Tech 3と共に24年間にわたりパドックにおいて活動してきた。その間、彼は有能なMotoGPライダーたちと共に仕事に取組み、彼らを全面的にサポートしてきた。彼のモーターサイクルに関する広範な知識と膨大な経験が担当ライダーたちを導き、競争力あるアスリートへと変貌させたように見える。ギはまた、チームが独自に設計と製造を手掛けているMistral 610バイクの開発責任者でもある。このバイクは2010年よりMoto2世界選手権に参戦している。

 若かりし頃より、ギは彼の人生の全てをレーシングに捧げてきた。これは彼の生い立ち、すなわちル・マン・サーキットの近所で育ったことに起因している。彼が最初にル・マン24時間レースを観戦したのは5歳の時であったが、それ以降、ほぼ毎年このイベントを訪れている。彼は夢を実現し、フルタイムのモーターサイクル・レース・メカニックになった。1974年のことであった。その後、長年に渡りパリ・ダカール・ラリーに携わり、同プロジェクトのテクニカル・ディレクターも務めた。これは1989年にエルベ・ポンシャラルと共にTech 3を設立する以前のことであった。1990年の最初のシーズンに向けて。初期の段階から確実だったのは、ギとエルベが異なる役割を演じなければならないということであった。選手権の競争に身を投じるに当たり。ギはレーシング業界においては尊敬の対象となっており、また顔も知れ渡っている。彼はモーターサイクルに関する深淵かつ詳細な知識を有しており、これは彼の人生経験に基づくものである。彼は数々のバイクを担当してきた。そのマニュファクチャラーも、エンジンのサイズも多岐にわたる。1989年のパリ・ダカで優勝したNXR 7501987年にル・マン24 時間レースに参戦したNR750などがその一例である。加えて、MotoGP世界選手権においては、様々なタイプのヤマハを取り扱ってきた。250 ccから500 cc2ストロークに800 cc4ストローク、そして現行の1000 cc4ストロークである。彼はモーターサイクルをこよなく愛しており、余暇には自宅でクラシック・バイクのリペアを楽しいんでいる。

 ギの役割はクルー・チーフに留まらない。クルー・チーフの使命は、ライダーとデータ・エンジニア、そしてサスペンションのスペシャリストらとの密接な連携作業を通じて、MotoGPバイクにおける有用なセット・アップを見出し、これを適用することである。ライダーの意図をくみ取ることで、ギは技術的対策を編み出し、提案し続けている。これは彼の膨大な知識に基づくもので、これにより、Monster Yamaha Tech 3のライダーとマシンのパフォーマンスを限界まで引きだそうとしている。彼は施された変更の内容をライダーに確実に認識させ、それと同時にこの変更に合わせた操縦方法も提示している。チームとの連携作業を通じ、Yamaha YZR-M1から最高の成果を引き出そうとしているのである。ギはこれまで、成功者たるあらゆるタイプのMotoGPライダーたちと共に仕事をしてきた。そして、彼らがTech 3在籍中に好成績を収めることができたのは、ギの支援があったからこそである。オリビエ・ジャックはTech 3と共に250 ccの世界タイトルを獲得し、また、若かりしころのマルコ・メランドリは、MotoGPの2年目のシーズンにおいてTech 3に在籍していた。更には、ワールド・スーパーバイクで2度のタイトルを獲得したコーリン・エドワーズに、125 ccのワールド・チャンピオンのアンドレア・ドヴィチオーゾ、そして現在の担当ライダーである、GPウィナーのブラッドリー・スミスもその中に含まれる。

 加えて、彼はTech 3 Racing TeamMoto2プロジェクトのテクニカル・ディレクターとしても活躍している。彼は、自身のモーターサイクルに関する専門知識を駆使することで、Mistral 610の進化の過程で不可欠かつ重要な決定を下すことができる。これにより、2010年にはカタルーニャでの優勝に加えて4度の表彰台を獲得した。Mistral 610の設計ならびに製造、エンジニアリングはTech 3チームにより独自に実施されている。Moto2世界選手権において、このようなチームは他に類を見ない。マシンの開発や変更を請け負うのはギとクルー・チーフたちで、エアロダイナミクスやその他の研究についても協力して実施している。

 ギの決断力とヴィジョン、そして忍耐力は、彼をチーフ・モチベーター足らしめ、Moto2ならびにMotoGPプロジェクトの推進に当たり、最良の決断を下すことを可能にしている。彼はモータースポーツに携わって40年目になる。彼の冷静かつ共同的な態度と、独創的なアイデアとが組み合わさることで、彼はTech 3チームにおける生命線あるいはソウルともいえる存在となっている。更には、計り知れないモーターサイクルに関する知識を駆使し、ギはホスピタリティ・ユニットを設計し、その後、チームがこれを製作した。このユニットは、モータースポーツのエンジニアリングに対する彼の深い理解が形となったものである。彼の経験と知性が、Tech 3のライダーとバイクの強みを引きだしている。Tech 3 Teamの成功のカギを握っているのは彼なのである。

 

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